はじめてのベルリン⑦ 開演前から興奮し過ぎ灰になる~フィルハーモニー

 今回の旅行の目的・本命は、シューベルトのミサ曲第6番 Messe Es-Dur D950/ Franz Schubert を聴くこと。
 音楽が大好きになった、記念碑的作品なのだ。



 20歳の時、阪大混声合唱団で出会った。
 誰がこの曲を持ってきたのか当時は判らなかったのだが、今もお世話になっている58のM.N.さんということで間違いないと思う。

 CDをあほほど聴いた。1日1回は聴いて、また歌っていたと思う。
 部室でcum Sancto Spiritu♪~と歌っていて(これは合唱団員なので普通)、「シブさん」と声をかけられて思わず「今12分30秒(CDプレーヤーが刻んでいた時刻を事もあろうに詳細に覚えていた)でstop」と言ってしまい、大いに笑われた。

 残念ながら、演奏会等ではソリストの比重の大きいCredoとBenedictusは省かれた。
 どうしても全曲が歌いたかったのだが、やらないものは仕方が無いので、阪大混声を4年で退団する前に、15人ほど集まっていただいて、カルテット大会(と言うのがある)で指揮の真似事をした。高校まで全く音楽の経験もなく技術も無い僕に、団内の内輪の催物とは言え15分も時間を占領したのは今にして思えば赤面するしかないのだが、こういうことは高校や社会人では僕はできる気がしない。ホントは周りもあきれ返っていたのかもしれないけれど、4回生になっていたということもあるのだろう。このような企みが咎められることは、全く無かった。
 いずれにせよ、心から感謝している。


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 それからしばらく、この歌が歌える合唱団が無いか探したが、関西では見つからなかった。
 ミサ曲は合唱団にとって比較的良く取り上げられるが、オーケストラとソリスト5人(テノールが2人)が要るとなると、「合唱団の演奏会のメニュー」にするには難しいのだと思った。第5番を練習している合唱団があったので入団してみたが、第6番に傾倒しすぎていた僕には全く物足りなかった。ちなみに、その3年後、淀川混声の門を叩いた理由はシューベルトでなく、アイラ&ジョージ・ガーシュウィンである。

 
あほほど聴いたCD

 この曲のCDは多数発売されているが、僕が気にいったのは、当時の指揮者K.N.さん(I.さんとも呼んだ)に教えてもらった、クラウディオ・アバド指揮、ウイーンフィルのものである。
 他のCDを聴いても、その速さや表現にどうしても違和感を感じてしまい、結局お蔵入りになるばかり。一つの曲に傾倒するのも、良し悪しである。そんなこともあってその後、日本でこの曲の演奏を聴くチャンスが無かったわけではないが、探すのは事実上諦めていた。
 もう一度この課題に取り組んでみようと思ったのは、昨年ニューヨークから帰る飛行機の中である。
 1か月ぐらいかかった末、昨年5月「どうやらウイーンにあるらしい」と判った。休暇日程と合わないのでもう一押ししたら、ついに鉱脈が見つかった。
 ベルリン・アシャッフェンブルク・ミュンヘンの3択から、行ったことのないベルリンを選択。

 Dienstag, 08.April 2014 20.00 Uhr Philharmonie Berlin Kammermusiksaal
 ソプラノ/Sopran Rachel Harnisch → に交代
 メツォ・ソプラノ/Mezzosopran Sophie Harmsen
 テノール/Tenor Christoph Pre'gardien
 テノール/Tenor Julian Pre'gardien
 バスバリトン/Bassbariton Laurent Alvaro
 合唱 RIAS Kammerchor
 演奏 Münchener Kammerorchester
 指揮者/Dirigent Alexander Liebreich


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 コンサート会場は、フィルハーモニーのカンマームジークザール。
 ベルリン入りした翌日(4月7日)に一度寄った。
 チケットは郵便事故を避けるため現地預りにしたので、前日に受け取れないか様子を見に行ったのである。
 が、要領を得なかった。僕が日本人らしいことが読み取られたらしく、「明日だけ」と言われたので退散した。
 外から見る限りモダンな感じはしなかったので、戦前からある建物なのかも、と思って調べてみたら、1963年とのこと。ちなみに、旧西ベルリン側であるが、数分歩けば壁という微妙な位置にある。

 
右上の緑地は地図(下)の「ティーアガルテン」



 4月8日、開演は20時であるが、この日は朝から全く落ち着かなかった。
 朝飯をゆっくりと堪能した後、11時ごろまでホテルの部屋でノンビリし、午前中は土産のアスパラガスを売っている八百屋、それからパン屋を訪ねて、明後日の朝7時に店が開いていることを確認した。
 それからベルリン工科大学のカフェテリアで昼ゴハン。図書館に寄った後、市内のバスを利用してフラフラした。

 開演は20時なのでもっとゆっくり他を観光すればイイのに、もう居ても立っても居られず、16時頃には最寄り駅のポツダマープラッツに来てしまった。
 かつて「壁」のあったこの付近は、Mauerfallの後大改造され、今はドイツ鉄道DB本社などガラス張りの高層ビルが建っており、地下にはちょっとした飲食店街がある。ドージマ地下センターほどの長さはないけれど、そう言う雰囲気。腹ごなしするには早いが、今さらあっちゃこっちゃに行く気にもならなかったので、ノルトゼーの看板を見つけて入った。
 
ドイツ各地にあるファストフード、ノルトゼー
 
晩ゴハン
 
そわそわするばかり。もう一軒、ジュースバーで

 もう何というか興奮した競走馬の様な状態になっており、2時間を潰すのに苦労した。結局この後カリーヴルストまで食べてしまって、やっと開場の18時になった。
 この時期、18時の空はまだ明るい。日没時刻を調べたら19時52分(GMT+1+1(夏時間))。
 昨日も来たのだが、「正面玄関」がどこかが分からず、結局裏から回ったような格好になった。玄関は地味である。あるいはロビーなども。フロントエンドだけを比べたら、フェスティバルホールやザ・シンフォニーホールの方が遥かに豪華である。

 
銘板(?)

 建物のドアを開けた。
 外観同様、さして変哲を感じなかったが、このホールの魅力は意外な方向からやってきた
 預かってもらっているチケットを受け取りに行った。このチケット預りの女性の「声」がステキだったのだ。



 何というか、ソプラノではないし、細くなく、中音域の、どちらかと言えばアルトの(アルトも「高い」という意味やけど)何とも芯を感じる声だった。詳しいセリフを忘れたので日本語で書くけど、例えば"Ja"という言葉一つとっても、音声にすると何とも言えない魅力があった。

 「こんばんは。日本から来たシブ…です。チケットを受け取りに来ました」
 「こんばんは。ようこそ!はい、Herr Shibu…チケット預かってます。ハイコチラ。Vielen Dank!」

 チケットを受け取ると、一気にテンションが上がった。



 チケットを持って入場してしまえば、撮影・録音禁止Foto und Aufnahme nicht gestattet なので、ホール内の写真はない。
 それで、開演前に、今のこの状態を残したくて描いたのが下。

 
下手くそすぎて見てられない(>_<)

  
 今日のプログラムは、以下の通り。



 ・Franz.Schubert Gesang der Geister über den Wassern D 714
 ・Salvatore Sciarrino(*1947-) L'imprecisa macchina del tempo
 ・休憩
 ・F.Schubert Messe Es-Dur D 950

 もちろん3曲とも聴いたのだが、最初の2曲は、全く記憶に無い(>_<)
 本命の演奏が刻々と近づく。日露戦争の日本海海戦でバルチック艦隊と邂逅する寸前の旗艦三笠の気分というのはこういうものかもしれない、と思った。
 連合艦隊はロシアの艦船をことごとく破ったのに対して、この時の僕は、異常に興奮し過ぎて曲を聴く前から早々と「灰」と化していた。マッタク、恥ずかしくて、見ちゃおれん(^^;)

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(澁谷 光基)(渋谷 光基)

「はじめてのベルリン」次回は、第8回「シューベルト6番ミサ」 11月27日(木)12:00 更新予定です。
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