はじめてのUK⑱ レシプロからターボへ 初期の発電用タービン


チャールズ・パーソンの蒸気タービンと接続された発電機。




19世紀末、電気は物珍しくエキサイティングなものであり、発電は蒸気の世界にも革命を起こす。

初期型の蒸気エンジンは実に長い期間をかけて発達したのに対して、
「蒸気タービン」は、原型ができてから実機の製造に至るまで10年間かからなかった。
蒸気力を利用することに関しては、この時を境に現代に入ったのである。

初期の発電所は、ピストンが往復するレシプロタイプ、要は旧式の蒸気機関を使っていた。
しかし旧式の蒸気機関では1分間500回転が限度で、効率よく発電するには回転不足だった。
発電機であれ、モータであれ高速で回転する機械は一般的に効率が高い。

1884年、チャールズ・パーソンは18,000回転の蒸気タービンを設計し、程なく実用化した。
この原理は現在でも使われている。燃料が石炭・ガス・石油・原子力と変わっても、住宅や工場など電力の75%は蒸気タービンが供給している。



チャールズ・パーソンズ 蒸気タービンの原型、1884年
この蒸気タービンの回転子は現代と同様、縦軸ではなく横軸である。
回転子の外側には、放射状に外側に湾曲したタービン羽根群でできた環が取り付けられている。


これらの回転子のタービン羽根が、固定子側に設置された羽根群の間に挟まる形で回転する。
固定子側の羽根群は、回転子の羽根を挟むようにタービンのケースの内側に固定されている。


蒸気はタービン中央から入り、タービンの回転子に沿って軸方向、即ち左右にまっすぐ流れる。
右か左かの一方向に蒸気が流れたのでは、「エンドスラスト」が起こる。回転子がタービンのケースの左右の壁に衝突してタービンが壊れてしまう。


蒸気がタービンの軸方向に流れることにより、蒸気は固定子の羽根群と回転子の羽根群を交互に通過する。
固定子羽根群は蒸気を回転子羽根群に衝突させるよう向きを変える。
回転子羽根群は蒸気を次の固定子羽根群に衝突させるよう向きを変える。
この時、回転子羽根群に与えられた圧力がタービンの回転子を回す。
つまり、反作用を利用しており、この駆動方式に依るものは「反動タービン」と呼ばれている。


パーソンの軸流蒸気タービン、1891年
この軸流蒸気タービンと発電機は、タービンが初期の蒸気機関の最良のものに匹敵する効率・出力で運転できる事を示した。蒸気タービンが発明されて僅か8年後のことである。
これは1892年(明治25年)、ケンブリッジ電力会社に設置されたものの一つで、約30年間稼働した。

パーソンの蒸気タービンを初めて発電に採用した発電所
75kWのパーソン蒸気タービン ニューカッスル・アポン・タイン、1892年



見てきたように、蒸気タービンにはピストンの様な往復運動が無く、発電のように回転速度の脈動を嫌う用途にはうってつけだった。蒸気タービンの軸に発電機を接続すれば、電池や河川に依らず電力をつくることが可能になる。


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この文の冒頭に示した写真は整流子とブラシがあったので直流発電機かと思い込んでいたのだが、年表によると1884年パーソンズはタービンで交流発電機を駆動した、と書いてある(「電気の歴史」高橋雄三著、東京電機大学出版局)。
トーマス・エジソンと二コラ・テスラ、ウェスティングハウスが展開した、送配電におけるいわゆる「直流vs.交流論争」が一応の決着を見るには、あと少しの年月を必要とすることになる。




「はじめてのUK」
次回は「ポンド急落!186円が125円に(>_<)
更新日は未定です。気長にお待ち下さい。



・原文

No.11 An energy industry is born

Today, we take electricity for granted.
But at the end of the 1800s, it was new and exciting, and its generation caused a revolution in steam power.
Earlier steam engines evolved slowly, but the steam turbine - a new innovation - went from prototype to production in less than ten years.
This was the moment at which steam power entered the modern world.

Coming up to speed
At first, electricity generating stations used older steam engines, with pistons working in cylinders.
But even the best of these engines was only capable of around 500 revolutions per minute(rpm) - not fast enough to generate electricity efficiency.
In 1884, Charles Parsons designed a steam turbine that could develop 18,000 rpm - a breaktaking 36 times the speed of earlier engines!
The principles applied by Patrons are still widely used today.
Whether the steam is generated using coal, gas, oil, nuclear reaction or any other method, steam turbins still deliver 75% of our power needs at home and at work.

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