はじめてのNY⑱ 思いっ切り、褒めてあげる

 Y.K.さん、「種あかし」です。(様相はかなり違うのですが(^^;) )

・2013.5.1(Wed),18:00(GMT-4)

 "SI"も無事買ったし、もう思い残すこともない、「NYでのしごとは終了、閉店閉店!」という気分になっていた。もちろん、ええ加減日本に帰りたくなったという事ではない。「あそこも行きたかったとか、ここも行きたかった」と言う気分にならなかったと言うぐらいの意味である。西宮戎の残り福みたいなもので、極めてゆるりとした、子供のような気分だった。

 4日前にもBarnes&Nobleに来ており、その時に17条にある"Basta Pasta"で昼飯にしたが、応対の感じが良かったし、ペンネが旨かったので、もう他に店を探すのもメンドクサイからここで最後の晩餐にしようと思って、ドアを開けた。
 "Do you have a reservation?" "No." …予約無しでは無理なのかな、と思ったが、結局すぐに席に通された。今日は動き回ったので疲れていて、席に座ると快い気持ちになった。

 まず、喉を潤したかったので、Mineralwassar mit Kohlensäure…と言っても通じないから、えーと、なんだっけ、Eau gazeuseでもない…"mi, mi, mineralwater... with,... gas!"やっと言葉が出てきた。
 その後軽い食前酒。アルコール入ってるか入ってないか分からないぐらいのソフトさ。
 
"Flamingo"グレープフルーツのカクテル

 腹が減ったので、写真の奥に見えるパンやグリッシーニに手が伸びるけど、メインのために胃袋の空きを残しておかねばならない。
 時間はゆっくりあるので、飲み物で口を湿らせながら(何かこの表現ヤだな)、メインの検討。
 イタリア語のメニューは読めない。
 PrimoとSecondiが「1.」「2.」という事なのやろけど、一番食べたいものから逆算していくことにした。
 どうやら表題とか品名だけがイタリア語で、品名の下には英語で説明がしてあり、"chacoal-grilled"の文字が目に入ったので、この中から選ぶことにした。「炭でグリル」…真っ先に思い出したのはニュルンベルグで食べた焼ソーセージである。ここのWurstにはganz dunkel(真っ黒に)と言う表現が似合う。久しぶりに、そういう「スモーキーに焼き抜いた」肉が食べたくなった。

 
Lamb Chopsを選択

 その"ganz dunkel"をどう表現しようと迷ったが、もちろん英語にしないと通じない。
 "This Lamb must be grilled through, very smoky."
と発音に角を立てて言ってみたら、"Well-done?"と返してきた。ああ、そうやったよな。忘れてた
 逆算して、一皿目。パスタが食べたかったので、魚介類のリングイネを一皿目に、ラム肉を二皿目にして、以降のデザート等は後で考えることにした。

 程よく冷房も効いていて、快かった。
 ビールを飲むときなどにも感じることなんやけど、飲み物のおいしさには「飲み物自体の温度」と「部屋の温度」の両方が影響していて、この店はその両方を考えていた。
 例えば、今日は5月1日なのであまり強い空調は必要ないが、真夏にビールを店で飲むときには空調を効かせてくれる方がウレシイ。「ビールはキンキンに冷えてるけど空調能力が足りない」ような店だと、ビールの味が出て来にくくて美味しくない。
 それで、オーダーを取りに来た時に、カクテルのグラスを持って、
 "It tastes very good, especcially the temperature of beverage and this room is best!"
と言ってみた。例によってGrammatik ist egal.(自分で言ってたら世話無いわ)である。店員はやや背中を落として、"Thank you very much, it's my pleasure!"と返球してきた。
 200円のうどん屋でも旨いもんは旨い事に変わりはない。が、皿や飲み物をテーブルまでサーブしてくれる店に行くと楽しいのは、店員と会話ができるところにある。

 パスタが運ばれてきた。
 
Linguine alla Pescatore

 リングイネは先日食べたペンネほどアルデンテではなく僅かに硬さを落とし、魚介類の食感と合わせてあった。
取り急ぎ店員に"Buono!"と言ったら、その時の店員がトレトレ・サンパティックで、わあっと言う感じでスゴク喜んでくれたので、それが嬉しくて、もう躊躇せずあほになることにした
 で、店員が水を注ぎに来たりする度に、いちいち"C’est tres bon!"とか"Hyper!"とか興奮気味に言ったりした。

 僕は「日本の飯屋では、こうはいかない」と言うような単細胞な考えは持っていないつもりなのやけど、ま、確かに海外に出た解放感が作用しなかったとは言えない。国内の店でもサンパな店員さんが時々おられるんやけど、こっちがこっ恥ずかしいというのが正直なところである。
 この店のオーナーは実は日本人で、そのことが知られていることもあってか、他のテーブルの客からは日本語も聞こえたけど、今日はなぜか日本語は選択したくなかった。折角日本国外に出た有難みが消えそうに思えたのだ。でも、それは店側にとっては関係のない事で、"Umai!"でもイイと思う。秋山好古のように。

 さて、メインのラム肉がやってきた。
 
Costolette d'Agnello

 期待通り、焼き抜いてあった。実にスモーキーだった。"Supremo!"(思い切り巻き舌で)

 あほほどの量を食べたのではないのだが、満腹になった。ワインは断っていてデセールだけ後で注文したいと申し上げていたのだが、この雰囲気を楽しみ続けたく、グラッパを呑んでみることにした。

 リストにある4種類の銘柄の違いが判らないのは本当はどうでも良かったんやけど、店員との会話を楽しみたかったので、"How are the differences of grappa in the list ?"と訊いてみた。何とか聴き取れたので、一番フルーティな感じのするものを注文した。リモンチェッロを試してみたかったが無かったので、それはイタリアへ行った時に(全く予定無いけど)呑む事にしたい。

 
Solvet Raspberry & Grappa ”Moscato"

 今日はやや暑かったので、ラズベリーのソルベ。濃厚で旨かった。"I was very satisfied with all of your great dishes!" もうある意味やけくそである。うおおおお!(なんのこっちゃ)

 

 "It's perfect!"

 支払い後、店員とシェイクハンドを交わして、店を出た。
 僕は飯が不味い時にまで賞賛するほどお人好しではないつもりなのやけど、気分というものは味覚に影響するのかもしれない。いずれにせよ、この日の目的は「旨いメシを食べること」から「プラスの言葉・感情・ストロークを思いっきりgive and takeすること」に変質していた。



きょうの料理
 Basta Pasta
 17条37番地(Barnes & Nobleの筋西)
 1-(212)366-0888

 
店頭。オチが無ーい




「はじめてのニューヨーク」は、毎週木曜日に更新します。
 次回は、第19回「セオドア・ルーズヴェルトの残した言葉」
 9月26日(木)0:00更新予定です。



FC2ブログランキング
  
よろしければここをポチッとclickすると喜びます(多分)

プロフィール・自己紹介はこちらをご覧下さい(^^)/
「プロフ」もこの記事の下にあるバナー(バナーに見えないけど)からたどれます。
関連記事

コメント

ようこ #-

種明かしをありがとうございます。

「せてとれぼん」の辺りかな?と予想していたら、大当たり。
思ったよりも分量が多いお得な大当たりでした。

その国の言葉で話してみると、気持ちがダイレクトに伝わる気がします。
そして、その醍醐味は、話した者だけに理解できるという・・・。
今後もクセになってやめられそうにありません。

2013年09月19日(木) 11時29分 | URL | 編集

シブ #6o31QazA

★コメント第16号! ありがとうございます

 ようこさんこんばんは。
 Herzlichen Dank für Ihren Kommentar!

 仰る通りですね。
 外国語に幾ばくかでも接していて良かったと思います。
 無論、「こういう場面で日本語は使わない」という事ではないのですね。

 僕はエゴグラムで言う「フリーチャイルド」(FC)がどちらかと言うとうまく出せない人なので、そこをNYのみなさまに助けてもらった形です。現地ではいろいろあったのですが、心理学的にも(?)行って良かったと思っています。

 今回の経験に味を占めたのか、既に次のフラグが立ちました。海外のYahooなどを使って、今必死でリサーチしています。目的地と日程は(一時表示したことがありますが)実はまだ確定していません。ホントは旅行の前にやりたいことが山ほどあるのですがネ。

 「はじめてのNY」シリーズはまもなく終了です。長々と読みにくい文章を、あほほど引き延ばす(もう半年ほど経ってる)とは、自分でも思ってませんでした。定期的な更新はしばらくお休みし、またゆるゆるとやっていきますので、これに懲りず今後ともよろしくお願いいたします。ながらくお読み下さり、ありがとうございました。

2013年09月19日(木) 20時56分 | URL | 編集

ホシノ #M75Wg0YQ

こんばんは

こちらでは、初めまして。旅好きのホシノです。
先ほどは私のブログにコメント下さり、ありがとうございました。
アメリカ在住経験があるのですが…近いと逆に遠のいてしまうのか未だNYは未到達です^^;
初めてのご旅行を満喫されている様子がとっても楽しそう♪

旅先での日本語封印は同感です。私も極力使いたくない。
英語も話せるので便利なのですが、英語圏以外では特に英語は封印したいです。
せめてあいさつ程度は現地語でしたいなと。
お互いに良い旅を。私も続きを楽しみにしております。

2013年09月21日(土) 20時16分 | URL | 編集

シブ #6o31QazA

★コメント第17号! ありがとうございます

 ホシノさんこんばんは。
 Thank you for your comment.

 私はもう四十も半ばを越えたオッサンですが、英語圏に行ったのが事実上初めてだったので、出発前は様相が良く分からなかったのですが、

 ・ドイツ語圏=少しでもドイツ語を話そうという姿勢を見せると、とても親切にしてくれる
 ・英語圏=英語で聴き話すのが当然で、容赦してくれない

という思い込みを持っていました。思い込みと言うより「話のネタ」としてそんな風に仮定していた程度とお考えください。
 実際はどうだったか。
 ドイツでは、そういう優しい対応をされることが多い一方、Intercityの食堂車等でこちらのドイツ語(もうかなりレベルが落ちているので)が通じないとみるや「英語で話しませんか」と言われたこともあります。
 今回のNYではどうか。これは現地の人の問題と言うより僕の力量の問題なのですが、「話す」は何とかなるのですが、「聴く」がネックですね。でも想像以上に優しい人が多かったですね。

 以上は、外国に出かけた場合のことで、日本国内のドイツ語教室(Goethe-institut、GI)等でうかっと"Just a moment, please"等と言ってしまうと"Kein Englisch!!!"などと容赦なく怒られたりしました。GIで感じたことについては、第⑪回に少し書きました。

 フランス語は勉強したことが無いので、旅行ガイドの文例以上のことに触れたことがありませんが、
 ・フランス語圏=ドイツ語圏とほぼ同様の対応
と思っていました。これは、ほぼ当たってました。フランス、ことにパリについては日本語の書籍など、圧倒的に情報が多いので、例えば「何も言わずにヌッと店に入っていく人は怪しい者扱いされる」と言うような事は比較的早期に知ることができました。

 滅茶苦茶雑な言い方をすると、日本の英語教育は(当時の)大学入試問題に象徴されるように、「英語の論文を読む/書く」ことを目標にしている節がありましたが、英語も含めて外国語に触れて(例えば僕が小学生の時は夏休みには毎日"Sesame Street"の放送がありました。まだElmoが登場する前で、マペットと言えばCookie Monsterでした。)良かったと思うのは、例えば

 ・店に入る時等は必ず「コンニチハ」、出る時は「サイナラ」と言う

という事を知ったことです。
 それは、やっぱり気持ちのイイことなんですね。それで、僕は近所のコンビニエンスストアに入る時も「お早う御座います」とか「今日は」と言う事にしています。

 日本語教育が挨拶を軽んじている、という事とはちょっと違うのですね。そこは小学校(以降)の国語の教育の範囲ではなく、家庭でやってくださいと言う格好なのでしょう。学校だけが勉強の場ではないですし。
 現代の学校教育についてはまたちょっと事情が多少変わっているかもしれません。

 桂枝雀が次のような事を言い残しています。

 …(略)…「今日は」というようなものには意味ありません。「今日は良いお天気でございますねぇ」と言うぐらいで、まあ文意は通じるわけでございますが、「今日は」ではまだ中途でございますから…(中略)…ですが、「今日は」と言うて、「それがどないしたんですか?」と訊く人はないわけでございまして、「今日は」「今日は」でこれ済むわけでございます。なぜ済むかと言うと、事実を伝えているわけではありません。つまりその「私は少なくともあなたに対して敵意は感じていませんよ」という事の・・・・
(「桂枝雀爆笑コレクション4:萬事機嫌よく」(ちくま文庫)より)

…この先がちょっとブラックで笑えるのですが、キリが無いので止めます。
 何だかフラフラして終わったようで恐縮です。

2013年09月21日(土) 22時49分 | URL | 編集


トラックバック

GO TOP